「炭酸を使った美容アイテム」は、近年注目を集めています。ですが、「炭酸を使用した美容アイテムは、本当に効果があるの？」と疑問に思っている人もいることでしょう。

そこでここでは、炭酸が肌に働きかける効果について解説していきます。

医療の分野でも注目されている炭酸の効果

炭酸を肌や健康に活かそうという考え方は古くからあります。炭酸泉による効果効能は19世紀の終わりにヨーロッパで研究され始めたとされていて、日本にも江戸時代末期にその考え方が入ってきたとされています。日本でも炭酸泉が見つかり、これは多くの研究者の研究対象となりました。

研究対象となった「炭酸」は、時代とともにその有用性が明らかにされていきました。

国際医療福祉大学大学院の前田教授の研究により、

などが明らかになりました（なおこの研究では、炭酸水を経口摂取したときの効果についても触れられています）。

ひとつずつ見ていきましょう。

炭酸ガス浴を行うことで、体の表面の温度が上がること

人間は体温を一定に保とうとする生き物です。

そのため炭酸によって体の一部を温めると、まだ温まっていない箇所にも熱を伝えようとして、血液の循環が良くなります（なお、血行促進による肌への作用については、後述します）。

炭酸水を含ませたコットンと水道水を含ませたコットンを肌に置いた場合、炭酸水を含ませたコットンを置いた箇所にのみ発赤（血管の拡張により生じる症状）が起きること

炭酸は人の肌から一時的に酸素や栄養を奪うのですが、酸素や栄養が奪われた場合、私たちの体は「早くそこに酸素や栄養素を補給しなければ」と考えます。上で述べたこととも繋がるのですが、その結果、酸素・栄養をのせた赤血球を積極的に細胞に運ばれます。

炭酸泉に全身を浸かることで、神経痛が改善し、免疫力が向上し、さらには細胞が修復されやすくなる

「手当て」という言葉は、手を患部に当てることからきています。手のひらが伝えてくる熱で、痛みが引いたという経験をしたことのある人も多いのではないでしょうか。炭酸泉で体を温めた場合もこの効果が見込めます。またこの温熱効果によって体のコラーゲン繊維の伸縮性が良くなり、こわばった筋肉や関節がほぐれます。

また、炭酸泉は血行を促進させ、体に溜まった老廃物や痛みの物質を除去します。

皮ふの主成分であるタンパク質は、熱によって変性します。そうすると体は、「変性してしまったタンパク質を元に戻さなければ」と、細胞を修復するために動き始めます。この結果として肌を修復する能力が向上するのですが、この向上効果は一般的なお湯よりも、炭酸泉の方が高いと認められています。

高濃度の炭酸ジェルパックには抗シワ効果が認められている

このように医学的な観点からその有用性が指摘される「炭酸」ですが、医学は美容とも深く結びついているものです。日本臨床試験協会の金子氏らはこれに注目し、高濃度炭酸ジェルパックがシワに対してもたらす効果を研究しました。

その結果として、「目元のシワ」「肌の柔らかさ」「ほうれい線」「肌のキメ」などからなる11項目の調査項目のうち、10項目で「炭酸水のジェルパックを使用したときと使用していないときでは、前者の方が悩みが改善した」という結果が出ました。

この研究は14人という比較的小人数を対象としたものであり、大規模な調査ではありません。しかしほぼすべての項目で、「炭酸のジェルを使った方が、使っていない場合よりも肌の調子が良い」というデータが出たことは、やはり注目に値することだといえます。

ちなみにこの研究では、上で紹介した研究と同じく、「炭酸による血行促進効果による改善である」と結論付けています。ただそれにプラスして、「（ジェルパックということもあり）石鹸のように肌の汚れを落とすこと、また保湿効果が高いことも、肌の改善を促した要因である」としています。 炭酸・炭酸水による医療・美容への効果は、すでに立証されています。美しくみずみずしい肌を作るために、炭酸の入った美容アイテムをスキンケアに取り入れてみてはいかがでしょうか。

出典：

国際医療福祉大学大学院リハビリテーション学分野教授前田眞治「人口炭酸泉の基礎と医学的効果・美容効果」

日本臨床試験協会「高濃度炭酸ジェルパックによる抗シワ効果」